お役立ち情報

スムーズな融資実行へ向けて その1

これからしばらく、融資についてお伝えしていきたいと思います。

まず、融資の種類について見ていきます。
融資については、いろいろな区分の仕方があります。区分と言っても金融機関側で勝手に行っているもので、借りる側からすれば、借りられれば何でもいい訳です。しかし、交渉相手の手の内を少しでも多く知っておくことは、交渉を有利に運ぶためには欠かせないことです。融資のシステム概要を整理して理解しておくことは、金融機関と借入交渉を行う際に、決して無駄にはなりません。
以下、若干長くなりますので、ご存じの部分は飛ばし読みしてください。

貸出科目による分類
貸出科目としては、商業手形割引、手形貸付、当座貸越、証書貸付等があります。

商業手形割引は、販売先から受け取った手形を銀行に割引いて(買取って)もらうものです。手形期日に手形交換所で決済された資金で返済となります。
手形貸付は、銀行の借入専用の手形に記名押印して、手形額面の金額を借入するものです。手形期日までの借入となりますが、サイト3か月程度の手形を切ることが多く、短期の借入に使われます。
当座貸越は、当座預金の赤残を一定額まで認めるものです。赤残当貸は、本来は一時的な資金不足に備えるものですが、べったり張付いてしまうこともあるので、銀行は積極的には取り上げません。また、個人の総合口座預金にセットされた定期預金に見合う貸越しも当座貸越の一種です。
証書貸付は、金銭消費貸借契約書に記名押印して借入を行うものです。約定返済付きの長期の借入の際に使われます。
支払承諾は、銀行が保証業務を行うもので、やや特殊です。こんなのもあるという程度で結構です。

融資の権限による分類
支店長の権限内で貸出できるものを店内稟議または部店長権限といいます。各支店毎に、個別案件自体の額や融資先の融資額合計について、融資先の格付に基づいて、部店長権限の金額(枠)が細かく決められています。そして、支店の格と部店長権限枠は比例して大きくなります。つまり大きな支店ほど部店長権限枠が大きいのです。
また、部店長権限の中でも預金担保付融資(預担)は別枠となり、即決でOKですし、信用保証協会の保証付きの融資(協会付)も別枠で、保証がおりれば、ほぼOKです。
なお、これら預担、協会付以外の融資をプロパー融資と呼んでいます。
部店長権限に対するのが、本部稟議または本部権限と呼ばれるものです。こちらは、支店から上げられた稟議を本部(本店)が決裁することによってはじめて融資実行できます。本部の決裁についても、金額により次長決裁、部長決裁、役員決裁等に分かれます。
当然、決裁ハードルの高い順は、役員決裁、部長決裁、次長決裁、部店長権限の順になります。

新規、継続の分類
新規稟議、増額稟議、継続稟議、折返し稟議という分類があります。
最初の三つは何となく分かると思いますが、「折返し」というのが分かりにくいと思います。これは、約定返済付きの融資について返済が進んだ時点で、金額復活させる融資というイメージです。

まだ、他にも分類の仕方がありますが、続きは後日といたします。

社会福祉法人 理事会について

Ⅰ.理事会の招集について【法第45条の14】
1 理事会は、各理事(理事会を招集する理事を定款又は理事会で定めたときはその理事)が招集します。
なお、理事会を招集する理事を定款又は理事会で定めたときは、その他の理事は招集権者で ある理事に対して、理事会の目的である事項を示して、理事会の招集を請求することができま す。この請求があった場合には、請求日から5日以内に、理事会の招集通知(請求日から2週 間以内の日に理事会を開催するものである必要がある)が発せられない場合には、その請求を した理事が理事会を招集することができます。
2 理事会を招集する者は、理事会の日の1週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっ てはその期間)前までに、各理事及び各監事に対してその通知を発出する必要があります。 ただし、理事及び監事の全員の同意があるときは、招集通知を発出せずに理事会を開催する ことができます。(招集通知の省略) なお、理事会の招集通知は、各監事(監事の全員)に対しても発出しなければならないことに留意してください。

Ⅱ.理事会の決議に関する注意点【法第45条の14】
1 平成28年改正法施行前は、定款に定めることにより、欠席した理事の書面による議決権の 行使(書面議決)が認められていたところですが平成28年改正法による改正後においては、 理事会における議決は対面(テレビ会議等を含む。)により行うこととされており、改正前の 書面議決の取扱いを行うことはできません。➡「えっ、そうなの?」とおっしゃる方がたまにいらっしゃいますが、書面決議はもうありません。
2 理事が理事会の決議の目的である事項について提案をした場合において、理事の全員が書面 又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは(監事が当該提案について異議を述べたと きを除く。)、当該提案を可決する旨の理事会の決議があったものとみなされます。(決議の省略) また、理事、監事又は会計監査人が理事及び監事の全員に対して理事会に報告すべき事項を 通知したときは、当該事項の理事会への報告を要しないものとします。(理事会への報告省略)ただし、理事長等が、 自己の職務の執行状況について理事会に報告するときは、実際に開催された理事会において行う必要があります。

Ⅲ.理事会議事録について【法第45条の14、15】
1 理事会議事録には、次に掲げる内容を記載する必要があります。➡理事会議事録の必要記載事項
①開催日時
②開催場所
③出席者氏名
④議長の氏名
⑤議案
⑥議案に対する発言内容
⑦議案に対する評決結果
⑧特別の利害を有する理事の氏名
⑨議事録署名人
⑩議事録署名年月日
⑪理事会が次に掲げるいずれかのものに該当するときは、その旨
ア 招集権者以外の理事が、理事会の招集を請求し、招集されたもの
イ アによる請求があった日から5日以内に、その請求があった日から2週間以内の日を 理事会の日とする理事会の招集の通知が発せられない場合に、その請求をした理事が招 集したもの
ウ 理事が不正の行為をし、若しくは当該行為をするおそれがあると認めるとき、又法令 若しくは定款に違反する事実若しくは著しく不当な事実があると認めるときに、監事が 招集を請求したもの
エ ウによる請求があった日から5日以内に、その請求があった日から2週間以内の日を 理事会の日とする理事会の招集の通知が発せられない場合に、その請求をした監事が招 集したもの
*議事録作成者の氏名記載は法的には必要ありませんが、評議員会議事録と統一して、記載するようにしておいた方がよい(うっかりミスを防げる)と思います。
2  理事の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をし(監事が当該提案について異議 を述べたときを除く。)、当該提案を可決する旨の理事会の決議があったものとみなされた場合の議事録には、次に掲げる内容を記載する必要があります。➡上記決議の省略手続です。
(1)理事会の決議があったものとみなされた事項の内容
(2)(1)の事項の提案をした理事の氏名
(3)理事会の決議があったものとみなされた日
(4)議事録の作成に係る職務を行った理事の氏名
3 理事、監事又は会計監査人が理事及び監事の全員に対して理事会に報告すべき事項を通知し、当該事項の理事会への報告を要しないものとされた場合の議事録には、次に掲げる内容を 記載する必要があります。➡上記理事会への報告省略です。
(1)理事会への報告を要しないものとされた事項の内容
(2)理事会への報告を要しないものとされた日
(3)議事録の作成に係る職務を行った理事の氏名
4 議事録署名人
議事録署名人については、定款で定められた署名人が署名又は記名押印(これも定款で定められています)を行うことになります。
「出席した理事及び監事は、議事録に署名し又は記名押印する」(法第45条14の6)が原則ですが、
「出席した理事長及び監事は、議事録に署名し、又は記名押印する」(同上( )書にて定款で緩和することが認められています)とする場合が多いです。➡条件緩和が認められているものは、できるだけ利用して管理を楽にするべきです。

社会福祉法人 評議員会について

評議員会についての注意事項を整理していきます。

Ⅰ.評議員会の招集について【法第45条の9】
1 評議員会の招集は、下記を除き理事会が招集します。
(1)評議員が、理事に対し、評議員会の目的である事項及び招集の理由を示して、評議員会の 招集を請求した場合、その請求後遅滞なく招集の手続きが行われないときに、請求をした評議員が招集するとき。
(2)評議員が、理事に対し、評議員会の目的である事項及び招集の理由を示して、評議員会の 招集を請求した場合、その請求のあった日から6週間(これを下回る期間を定款で定めた場 合にあっては、その期間)以内の日を評議員会の日とする評議員会の招集の通知が発せられないときに、請求をした評議員が招集するとき。
2 評議員会を招集するには下記の事項を理事会の決議により定め、理事は評議員会の1週間( 又は定款に定めた期間の)前までに評議員に書面又は電磁的方法(電子メール等)により通知 する必要があります。 なお、電磁的方法で通知する場合には評議員の承諾を得る必要があります。 また、評議員の全員の同意があるときは、招集の手続きを経ることなく、開催することがで きます。➡招集通知省略の手続です。
(1)評議員会の日時及び場所
(2)評議員会の目的である事項がある場合は当該事項(議題)
(3)評議員会の目的である事項(議題)に係る議案(議題=議案となる場合は不要。)の概要 (議案が確定していない場合はその旨)

Ⅱ.評議員会の決議に関する注意点【法第45条の9】
1 評議員会は、あらかじめ招集通知で定められた議題以外の事項を決議することはできませ ん。➡つまり、理事会議決されたことしか議決できません。理事会で決議されていない事項を評議員会で議決してしまっていることが、たまにあります。要注意です。
2 理事が評議員会の目的である事項について提案した場合において、評議員の全員が書面又は 電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の評議員会の決議があ ったものとみなされます。➡決議省略の手続です。
また、理事が評議員の全員に対して評議員会に報告すべき事項を通知した場合において当該 事項を評議員会に報告することを要しないことにつき評議員の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該事項の評議員会への報告があったものとみなされま す。
3 以下の事項については特別決議(議決に加わることができる評議員の3分の2以上の賛成)が必要です。【法第45条の9第7項】
(1)監事の解任
(2)役員等の損害賠償責任の一部免除
(3)定款変更
(4)法人の解散
(5)法人の合併契約の承認

Ⅲ.評議員会議事録について【法第45条の11】
議事録に記載しなくてはならない事項や、決議しなければならない事項、招集、運営のルールが細かく定められています。
また、その場では話し合ったが議事録には記載しなかった事項が後々問題視されることのないよう注意が必要です。
1 評議員会議事録には、次に掲げる内容を記載する必要があります。~議事録の必要記載事項
(1)開催日時
(2)開催場所
(3)出席者氏名
(4)議長の氏名
(5)議案
(6)議案に対する発言内容
(7)議案に対する評決結果
(8)特別の利害を有する評議員の氏名
(9)議事録を作成した者の氏名➡これが、よくもれます。
(10)議事録署名人
(11)議事録署名年月日
2 議事録署名人
議事録署名人については、定款で定められた署名人が署名又は記名押印(これも定款で定められています)を行うことになります。
「出席した評議員及び理事は、議事録に記名押印する」(定款例第14条2)あるいは、
「議長及び会議に出席した評議員のうちから選出された議事録署名人2名がこれに署名し、又は記名押印する」(同上但し書)とすることが多いですが、但し書の方をお勧めします。➡条件緩和が認められているものは、できるだけ利用して管理を楽にするべきです。

 

社会福祉法人 役員等の選任について その3

就任の意思確認について
さて、滞りなく役員等の選任手続きが完了すれば、最後に役員等の就任の意思確認が必要になります。この意思確認に際して、役員等から提出を受ける書類についても注意が必要です。

評議員、役員の選任については、委任契約により法人との関係性が成立します。つまり、法人からのオファーに相手方が同意することで契約が成立しますので、委嘱状、就任承諾書、宣誓書、履歴書が必要となるのです。
その中で、委嘱状、就任承諾書には任期を記載しますので、正しく記載されているかチェックが必要です。

ここで、役員等の任期の考え方について、もう一度整理しておきましょう。例えば、評議員については、社会福祉法第41条において「評議員の任期は、選任後四年以内に終了する会計年度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結の時までとする」とあります。(伸長も可能ですが、今はちょっと置いといて)これを順に検討していきます。
まず、選任後四年以内とは、例えば平成29年4月1日選任されれば令和3年4月1日以内であり、その最終会計年度は令和3年3月31日までの会計年度となります。その会計年度に関する定時評議員会は通常令和3年6月に行われる評議員会になります。この時までが任期です。
つまり、選任後四年とはいつか?その日時点で一番近い決算はいつか?を考えればよいのです。~年度、~会計年度、~年~月等が入り混じると混乱してしまいますので、具体的日付で考えるようにすると、はっきりします。
念のためですが、スタートは選任日であって就任日ではありません。法改正後最初の評議員の任期について4月1日から起算するのは特例であって、その後は飽くまで選任日が起算となりますので、この点もご注意ください。

また、誓約書での確認事項(欠格事由・特殊関係の有無・反社会的勢力の者でない事の確認等)に漏れがないかの確認も必要です。特に特殊関係の有無確認については、評議員・理事・監事で法律の条文が異なるので要注意です。~具体的には用紙の取り違えに注意です。用紙を間違えただけであっても、法人としての確認義務を果たしていないことになってしまい、結構大きな問題になってしまいます。

★以前お伝えした理事の要件の(6)特殊の関係については、就任時の誓約書で確認することとなります。理事の誓約書が評議員用のものとなっていることもよくありますが、これでは特殊の関係を確認したことになりません。念のために用紙間違いがないか確認をしていただければと思います。
★なお、印鑑証明は必須ではありませんが、法人登記等の為に提出受けていれば一緒に保管してください。
★以上の意思確認資料については、各評議員、理事、監事毎にまとめて保管、ファイリングすることをお勧めします。インデックスに各自の名前を書いて夫々に意思確認資料を綴じるのです。この作業をするだけで、中身の確認がしやすくなり、ミスが格段に減ります。
★なお、監事についての上記の保管ファイルには、「監事の選任に関する評議員会の議案についての監事の同意書」の写しについても一緒に保管ファイリングしておくとよいと思います。

社会福祉法人 役員等の選任について その2

昨日ご説明した様に、要件を満たす方を役員等の候補としたら、続いて具体的な選任手続きに入ります。その選任手続きの注意点を次にまとめました。理事会、評議員会、評議員選任・解任委員会の開催順序やそれぞれに必要な議決事項の整理をしておくことが大切です。

評議員の選任手続について

一般的な、評議員選任・解任委員会で評議員を選任する場合について流れを示します。

①評議員候補者の選任
・理事会にて、評議員候補者の選任を行います。
②評議員選任・解任委員会の招集
・評議員の選任は、評議員選任・解任委員会の議決事項です。
・各法人で作成している評議員選任・解任委員会運営細則等に基づき、評議員選任・解任委員会の招集を行います。( 評議員選任・解任委員会運営細則は理事会の議決により定められます。)
~通常は理事会で評議員選任・解任委員会招集を議決すると定められていることが多いですが、理事長が招集するとの定めもあります。
・特に規定がない場合には、理事会にて招集の決議を行います。
③評議員選任・解任委員会の開催
・評議員選任・解任委員会にて評議員候補者が「社会福祉法人の適正な運営に関する識見を有する者」である旨説明を行い、決議を行います。
・定款で規定された外部委員の人数の出席・賛成が必要です。
④辞任により退任した評議員の任期について
・辞任により退任した評議員は、新たに選任された評 議員が就任するまで、なお評議員としての権利義務を有することになります。
・補欠評議員の選任については、改めて選任の手続きを行う必要があります。
・補欠の評議員の任期は定款によって、任期の満了前 に退任した評議員の任期の満了する時までとすること ができます
➡ここが、以前説明した評議員の任期統一の際に問題になるところです。

○簡潔に、定款例に準拠した評議員選任の流れも示しておきます。

評議員候補者案の作成 (法人事務局)
          ⇓
理事会の招集通知 (理事長➡理事・監事)
          ⇓
理事会の開催 (評議員選任・解任委員会の開催の決議・評議員候補者の推薦)
          ⇓

評議員選任・解任委員会の招集通知 (理事会で定めた運営方法による)
          ⇓
評議員選任・解任委員会の開催 (評議員の選任)
          ⇓
新任評議員からの就任の意思確認

★以上の手続きは評議員選任の正当性を確保するために必要です。
もし手続きに瑕疵があれば、評議員の正当性が担保されず、評議員の選任に係る理事、監事や、その後の法人運営すべてが無効となってしまう危険性があります。(「えーっ、これじゃ評議員が適正に選任されてないことになる!ということは、その評議員が選任した理事・監事や、その後選任された理事長も無効?じゃ、新理事になってからの法人運営も無効になっちゃうの?」などと慌てる場面が、時たまあります。ご注意ください。)
よって、選任の流れをしっかり残すために、理事会、評議員選任・解任委員会の議事録には必要事項を記載して保管する必要があります。
(当然ながら、それらの理事会、評議員選任・解任委員会の開催自体が有効でなくてはなりません。)
★評議員を選任した評議員選任・解任委員会議事録、「えっ?どこ行ったかな?」と探し回ることのないようにしっかりと保管しておきましょう。理事会や評議員会の議事録と違って、普段あまり見返したりしないと思いますので、注意が必要です。

理事・監事の選任について

理事・監事の選任の一般的な流れも見ておきましょう。

①理事候補者の選任
・理事会にて下記の者を含む理事候補者の選任を行います。
(1)社会福祉事業の経営に関する識見を有する者
(2)当該社会福祉法人が行う事業の区域における 福祉に関する実情に通じている者
(3)当該社会福祉法人が施設を設置している場合にあっては、当該施設管理者
②監事候補者の選定
・理事会にて下記の者を含む監事候補者の選任を行います。
(1)社会福祉事業について識見を有する者
(2)財務管理について識見を有する者
・監事の選任推薦議案については、監事の過半数の同意を 得た上で、評議員会に提出すること。

★この同意は、よく漏れます。旧監事と新監事が全く同じ方であっても、旧監事の同意が必要になります。(社会福祉法第43条第3項により準用される一般法人法第72条第1項)同意の記録は理事会議事録に残しても良いのですが、同意書をもらうのが、漏れがなくおすすめです。

③評議員会の招集
・役員の選任は評議員会の議決事項です。
・評議員会の招集は理事会にて行います。
・評議員会の招集にあたっての注意事項
(1)理事会にて評議員会の日時等の議決が必要
(2)招集の議決を行った旨議事録に記載必要
(3)招集通知は評議員全員の同意があれば、省略可能
④評議員会の開催
・評議員会にて理事・監事候補者に各種要件に該当する者が含まれている旨説明を行い、決議を行います。
・議決は各候補者ごとに行う必要があります。
・各候補者ごとに議決を行ったことがわかるよう議事録に記載すべきです。
⑤辞任により退任した理事・監事の任期について
・辞任により退任した理事・監事は、新たに選任された理事・監事が就任するまで、なお理事・監事として の権利義務を有することになります。
・補欠の理事・監事の選任については、改めて選任の 手続きを行う必要があります。
・補欠の理事・監事の任期は定款によって、任期の満了前に退任した理事・監事の任期の満了する時までとすることができます

○こちらも、定款例に準拠した理事・監事選任の流れを簡潔に示しておきます。

理事・監事候補者案の作成 (法人事務局)
       ⇓
理事会の招集通知 (理事長⇒理事・監事)
       ⇓
理事会の開催 (理事・監事候補者の推薦・評議員会の招集決議)
※監事候補者の推薦には監事の同意が必要~しつこいようですが、これ、よくもれます。
       ⇓
評議員会の招集通知
       ⇓
評議員会の開催 (理事・監事の選任)
       ⇓
新任理事・監事からの就任の意思確認
       ⇓
新理事による理事会の開催(理事長の選任)

★任期満了による役員の選任が行われた際には、新理事による理事会により理事長を選任することとなりますが、その理事長選任に係る理事会については、役員選任の評議員会と同日に開催されることが多いと思います。何度も理事に集まっていただくのは大変ですから当然です。しかし、その場合には、招集通知省略の手続きが必要です。
何故なら、まだ新理事が確定していない一週間前に招集通知を発出することは物理的に不可能だからです。
➡ここも注意ポイントです。

社会福祉法人 役員等の選任について その1

役員の任期の統一についてお話しましたが、前提として、役員選任についての注意点を整理してみました。これから何回かに分けてお伝えしていきたいと思います。

 

評議員、理事、監事について

法人を運営していくためには評議員及び役員(理事・監事)が必要ですが、この役員等が法人運営の中核となるため、選任や業務執行、その記録としての議事録等について社会福祉法で厳密に定められています。

~役員等の選任に瑕疵があると、その後の法人運営全体が無効となってしまう危険性もあります。慎重な取扱いが必要です。

社会福祉法の役員等選任に関する注意事項を整理してみました。まず、役員等になる方の要件からまとめてみました。

役員等の要件

評議員の就任にあたっては、いくつかの条件があります。主な条件は次のとおりです。
(1)理事の員数を超えること。(通常、理事6人に対して評議員7人のパターンが多いですね。)
(2)理事・監事又は職員を兼ねることができないこと。
(3)各評議員又は各役員の配偶者又は三親等以内の親族が含まれてはならないことに加え、各評議員又は各役員と特殊の関係がある者も含まれてはならないこと。

理事の就任にあたっても、いくつかの条件があります。主な条件は次のとおりです。
(1)6人以上であること。
(2)社会福祉事業について熱意と理解を有し、かつ、実際に法人運営の職責を果たし得る者であること。
(3)社会福祉事業の経営に関する識見を有する者が含まれること。
(4)社会福祉法人が行う事業の区域における福祉に関する実情に通じている者が含まれること。
(5)施設を設置する場合は、当該施設の管理者が含まれること。
(6)理事本人を含め、その配偶者及び三親等以内の親族その他各理事と特殊の関係のある者が理事の総数の三分の一を超えて含まれてはならず、その上限は3人であること。

監事の就任にあたっても、いくつかの条件があります。主な条件は次のとおりです。
(1)2人以上であること。
(2)理事又は職員を兼ねることができないこと。
(3)社会福祉事業について識見を有する者が含まれること。
(4)財務管理について識見を有する者が含まれること。
(5)各役員の配偶者又は三親等以内の親族が含まれてはならないことに加え、各役員と特殊関係がある者も含まれてはならないこと。

★上記の下線の部分に誰が該当するかについて、法人として確定させておく必要があります。例えば、「財務管理について指揮権を有する監事」は誰ですかと問われれば、「この監事です」と答えられなくてはなりません。現況報告書の記載欄に「理事要件の区分別該当状況」等がありますので、理事ならば3つの要件それぞれに記載しておくと分かりやすいです。理事長は「事業の区域における福祉に関する実情に通じている者」でもあると思いますが、施設長を兼ねている場合は「施設の管理者」にしておくとよいと思います。

評議員の任期統一について

特例措置終了に伴う新評議員と現評議員との任期のずれについて、任期を合わせる方法をお伝えすると申し上げてから、随分時間が経ってしまいました。10月2日締切の補助金申請等に追われて遅くなりました。失礼しました。
任期を合わせる方法は、二つあります。(ありました。)
①新評議員選任の際に現評議員全員に一旦辞任していただき、新評議員と伴に再任する。
②現評議員の任期(来年の定時評議員会まで)に、新評議員全員が一旦辞任して、全評議員を同時に選任する。
以上二つですが、いずれの方法をとる場合でも、条件があります。定款で「補欠評議員の任期を退任した評議員の任期の満了する時までとすることができる」と規定していることです。一旦辞任した評議員を再任すれば、それは補欠評議員の選任とみなされるからです。定款で「補欠評議員の任期を退任した評議員の任期の満了する時までとする」と規定している場合は全員の任期は合わせることができなくなってしまいますので、定款の変更から始めなくてはなりません。(ずれた任期を引継ぐからです。)
上記①は評議員を追加選任する際の手順ですので、現在ではすでにタイミングを失っています。よって、評議員の任期にずれが生じてしまっている場合には②によって統一することになります。実は奥の手として評議員全員が辞任して、すぐに再任すれば、いつでも任期の修正は可能ですが、任期満了の時期に合わせた方が処理的にはきれいであると思います。
大切なのは、「ずれ」は「ずれ」として認識して、管理することだと思います。

社会福祉法人 評議員の任期について

当事務所では、社会福祉法人の運営事務のお手伝いも業務の柱としています。
法人運営のトピックスについて、記事にしていきたいと思います。
コロナ対応で大変な時ですが、事務見直しの参考にしていただけたらと思います。

今日は、評議員の任期について、気になる点を述べていきます。
評議員の任期は、定款上「選任後4年以内に終了する会計年度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結の時まで」となっているのではないでしょうか。これは社会福祉法第41条によるものであり「社会福祉法人定款例」も、そのようになっています。
よって、平成29年4月1日施行の社会福祉法改正による新評議員の任期は「令和2年度会計に関する定時評議員会の終結の時まで」のはずです。ややこしい表現なので、具体的日付でいうと、令和3年6月になるでしょう。
一方、経過措置で評議員を4名としてきた法人さんでは、経過措置終了に伴い新規に選任された3名の評議員の任期が令和5年6月となるはずです。つまり、現評議員との間で任期にずれが生じるのです。~正しく選任手続きをしていれば、ずれが生じるのが当然なのです。無理やり揃えている法人さんがあれば、それは間違いです。
でも、「正しく任期を揃える方法もあります。
長くなってきたので、その方法は次回、お伝えします。

家賃支援給付金 申請代行してみて

家賃支援給付金申請スタートしましたが、以前指摘しました白色申告の場合の売上減少率判断について、やはり持続化給付金と同様に年間収入合計から月次平均を計算して今年の月商と比較するシステムでした。
ただ、実際に申請代行してみますと、持続化給付金よりも手強いと感じました。煩雑さは二割増といったところかと思いますが、わかりきったことは長々と注釈してあるのに、肝心のところの説明が抜けていて戸惑います。
そして、「ある」「ない」のチェックについて最初からチェックが入っている項目がありますが、これが結構な罠になっています。うっかりそのまま入力を進めると、後になってあるはずのない書類の添付が必須になったりして立ち往生してしまう可能性があります。私はそこからの脱出に2時間掛かってしまいました。(もちろん脱出に際してコールセンターは何の役にも立ちませんでした)ご注意ください。
でも、3件目の申請は、すいすい処理できました。何事も慣れが大事なようです。

家賃支援給付金 申請 7月14日受付開始

昨日、ついに「家賃支援給付金」の「申請要領」が発表されました。
申請の受付は2020年7月14日開始で、2021年1月15日までです。申請形式は持続化給付金とほぼ同様のWeb申請です。
マイページ作成から入力に移行する形も同じです。添付必要書類も持続化給付金と被る部分が多く、5月の売上で持続化給付金申請を行った方は資料を流用出来そうです。追加すべきは賃貸借契約書の写しと直前3か月間の賃料支払い実績を証明する書類となります。
それと、新たに「誓約書」への自署も必要となりました。
注意点としては、税務申告書に「地代・家賃」が経費計上されていることが条件としてチェックされそうです。申告をミスってるとしんどい感じです。また、確定申告書第一表にマイナンバーの記載がある場合は黒塗りすること、売上帳の必要箇所に下線を引くこと、賃貸借契約書の必要箇所にも印をつけること等、細かい指示があり、資料をそのまま使う訳にはいきません。
あと一点、白色申告の場合に前年からの売上減をどう示すのか(年間売上の平均と今年の売上を比べるのか)が、明示されていません。サポートセンターに問い合わせても答えは要領を得ず、判然としません。(サポートセンターの人もマニュアル渡されてるだけだから答えられないのは仕方ないか)
文脈からは、昨年の年間売上の平均と今年の売上を比べる(持続化給付金申請と同じ)のだと思われますが、しっかり確認できれば、またこの場でご報告します。