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スムーズな融資実行へ向けて その2

前回に引き続き融資の種類について見ていきます。

個別稟議、極度稟議、一括稟議の分類
原則的には貸出案件1件ごとに稟議書が作成されます。これを個別稟議と呼びます。
それに対して、反復的な借入申込があるような場合に、優良な取引先に対して貸出限度額を決めてしまうことがあります。一定期間内、極度範囲内で反復的に貸出を実行するための貸出極度額の稟議を極度稟議と呼びます。
また、同質の貸出で、実行時期が接近しているものをまとめて稟議する場合があり、それを一括稟議と呼びます。この場合、まとめる稟議は、次に説明する資金使途の分類が同じものに限定されます。

資金使途による分類
融資した資金が何に使われるかによって、以下のように資金使途が分類されます。
a.経常運転資金:仕入、生産、販売等の営業活動に伴い経常的に必要となる運転資金です。この経常運転資金のうち、繰り返し継続を続けるものを、ころがし(コロ単)と呼ぶことがあります。
b.増加運転資金:売上高の増加または収支条件の変化に伴い必要となる運転資金です。
c.季節資金:季節的要因によって、一時的に必要となる運転資金です。たとえば、バレンタインデーに備えてチョコレートの製造を増やすための資金等です。
d.在庫資金:在庫を積み増す場合に必要となる資金です。
e.決算・賞与資金:納税、配当金、役員賞与等を支払うための決算資金と従業員賞与を支払うための賞与資金のことです。
f.減産資金:減産に伴い発生する資金需要に対応するものです。
g.つなぎ資金:別途財源が確定している場合の資金調達までの一時的資金需要に対応するものです。
h.月中資金:支払い先行による月中のごく短期間の資金不足に対応するものです。
i.長期運転資金:1年を超えて必要となる運転資金です。
j.設備資金:工場、機械、本社建物等への設備投資のための資金です。
k.貿易関連資金:輸出入取引に関連して発生する資金需要に対応するものです。外為与信とも呼ばれます。
l.赤字補填資金:赤字を埋め合わせるための資金のことで、融資対象となりません。運転資金として申込んでも赤字補填資金と判断されれば、否決されます。

以上、融資については様々な区分けがされます。それぞれの言葉の意味が頭に入っていると銀行員との話し合いの際に役立つでしょう。
そして、どの様な種類の融資を申込むのか、事前に整理してから交渉に臨むことが重要です。例えば、「手形貸付を部店長権限の範囲内で、新規個別稟議、プロパーで経常運転資金として申込む」と言うように明確なイメージを持って交渉に臨むのと、単に「資金が必要だから貸してほしい」との思いだけで交渉するのとでは銀行の対応が違ってきます。

では、実際に借入申込する際の注意点、ポイントいついて、次回からお話していきます。